社会ネットワーク分析 輪読会 2005

社会ネットワーク分析の英語の本を読みます 【終了しました。】

このサイトは、社会ネットワーク分析の英語の本(ScottのSocial Network Analysis)を読む輪読会のサイトです。2005年4月15日から7月27日まで東京大学本郷キャンパスで開催しました。参加いただいた方、ありがとうございました。

社会ネットワーク分析とは

社会ネットワーク分析は、行為者の属性ではなく、その関係性に着目して現象を捉えようとする方法論です。 社会学の分野で1970年以降、活発に研究が行われてきました。 人や組織の持つ関係性をネットワークとして捉え、どの行為者が中心的なのか、どういった派閥があるのか、そしてその背後にあるものは何なのかといった 研究が行われてきました。人間関係、企業間関係、産業間関係、国の関係など、あらゆるレベルのネットワークが対象となり、研究が行われています。

一方、近年では、関係性に関するさまざまなデータが電子化された形で入手可能になっており、例えば顧客同士のインタラクションや Web上でのblogやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)におけるユーザの振る舞いなど、 ネットワークという視点からデータを分析するアプローチがさまざまな分野で着目を集めています。 計算機科学の分野でも、1998年以降、スケールフリーやスモールワールドなどcomplex networkと呼ばれる新しいネットワーク理論の研究がブームとなり、日本でも昨年あたりから大きく着目を集めています。 こういった、「大規模データを入手する手段の発達」「大規模ネットワークを解析する研究の進展」は、社会ネットワーク分析にも新しい風を吹き込んでいます。

また、人工知能の分野では、以前からものごとの関係性をいかに記述するか、それを使ってどのように推論をするかという研究が行われていました。 ネットワークは関係性を総体として捉える視点であり、その総体としての性質が個々の関係性にどう反映されるのかは面白い方向性です。 また、コミュニティを詳細化した形としての社会ネットワークは、ナレッジマネジメントにおける知識共有においても重要な視点ではないでしょうか。

このように社会学、経済学、計算機科学、人工知能やWebなどの情報学において、ネットワークに関する話題が着目を集めつつあります。

電子情報通信学会 教養のページ「社会におけるネットワーク構造と新しいネットワーク理論」はこちら

輪読について

社会ネットワーク分析に関しては、東京大学の安田雪先生が書かれた本をはじめ、よい解説書が何冊か出ています。とても読みやすいです。また、スケールフリーやスモールワールドといった新しいネットワーク理論に関しては、NHK出版その他から 海外の本の訳本が何冊か出ています。そちらも読みやすく面白い本です。

ただ、ネットワークを対象として研究としてはじめようという人にとっては、やはり、海外の文献をきちんと読んだ方がよいと思います。特に、社会ネットワーク分析も complex networkも、海外の研究者が中心となっていますから、英語の専門書を読む、海外の新しい文献を読むということは必要不可欠なことではないでしょうか。

というわけで、社会ネットワーク分析の輪読を開催したいと思います。余裕があれば、新しいネットワーク理論に関する文献も読みます。

内容について

安田先生おすすめの社会ネットワーク分析の良書

を読みます。途中からは違う文献(Carringtonの新しい本)、complex networkに関する論文等を読みました。



産業技術総合研究所 松尾 豊