これまでの研究
仮説推論(1997-2001)

仮説推論は、ある観測事象(ゴール)を説明する仮説を見つけ出す推論形式です。 たとえば、経路探索問題を考えます。どういう経路を取ればどこに着くかを記述したルールを背景知識として与えておき、 目的地をゴールとして仮設推論システムに入れれば、目的地に到達する経路(仮説)の組み合わせを出してくれます。 さらに、各仮説にコストを付与しておくことで、最も安い経路、最も速い経路などを見つけることができます。 仮説推論の高速化は、この解をいかに高速に見つけるかという研究です。

  • 仮説推論の一般的な教科書:石塚先生の本
  • 数理計画法を用いた高速解法:SL法[PDF]、並行プロセス[PDF]

しかし、こういったルールを記述することは非常に大変です。 そもそも、ルールを書いている時点で書いている本人は答えが分かっています。 つまり、モデルを作った人にとって、モデルの中には面白いものはあまりなく、モデルの外に、 すなわち捨象してしまっていることの中に、その人の知らない重要なものが隠されているかもしれないのです。 普通のシステムでは、モデルを作った人よりも劣った結果は出せますが、モデルを作った人の知らないことは決して出ないわけです。

キーワード抽出・Web処理(2001-2002)

というわけで、自然言語に着目して、キーワード抽出や要約などの研究を始めました。また、文書といえばWeb上にリンク関係で構造化された情報 がたくさんありますから、Webの研究も行いました。 また、ネットワークのSmall World構造にも着目して、いくつか研究を行いました。

  • 文書内の共起の偏りによるキーワード抽出法:論文[PDF]
       試用ページを公開しています。 システムはこちら
  • 語の共起ネットワークのSmall World性に着目したキーワード抽出法:論文[PDF]
  • Small World に関する解説記事:論文[PDF]
  • Webのリンク構造に着目した距離の定義:論文[PDF]
  • ブラウジングの履歴を考慮したキーワードハイライトシステム:論文[PDF]
チャンス発見(2000-2003)

ユーザがデータの中から意思決定に役立つ情報を発見するための支援を行う、チャンス発見の研究に参加しました。 2000年〜2002年まで、 JST さきがけ「自然現象・社会動向の予兆発見と利用」のリサーチスタッフとして研究を行いました。 また、KES2002でのChance Discovery invited session co-chair、HCI2003 3rd International Workshop on Chance DiscoveryのCo-organizerも務めました。

チャンス発見に関して、いくつかの本が出版されています。

  • チャンス発見の情報技術―ポストデータマイニング時代の意志決定支援、東京電機大学出版局(分担執筆)
  • ビジネスチャンス発見の技術、岩波アクティブ新書(大澤幸生著)
など。